マネジメントで優位性を意識する

マネジメント関連で業務を行うときには、いくつかの原則論を守っている。

“組織は事業に準じる” “70点を死守して100点を狙う” “常に最悪の状況から逆算してリスク管理する” などが、再現性高く良い結果に繋げられる約束事として自分の中で確立できている。

「マネジメント」という言葉は色々な角度から語られるし、その定義も様々だ。

自分は一言でマネジメントそのものを語ることはしていない、というかできない。

多様な角度で言葉の意図や考えが捉えられるし、一言で語らない方が「マネジメント」という武器を長く広く活用できると考えている。

マネジメントはとても奥が深く、人によってパフォーマンスの出し方も違うので、キャリア上の壮大なテーマとしてまだまだ追求していく余地が大いにある。

ただあえて今それを定義するなら、「望む結果が出やすい状況を意図的に作り出すこと」がマネジメントだと考えている。

”意図的に” というのが重要で、これは求める結果を偶発的に作り出すのではなく、自分達の行動を起点に必然的に作り出すことを強く表すためにそう表現している。

では意図的に何をやるのか?という問いに対する具体としては、挙げればキリがない中で今回それを抽象的な言葉で定義を試みるのが、”優位性” というもの。

優位であるかどうかは状況によって変わるし、文脈によっても変わるが、ここでは受け身で行動した場合を0として、そこから主体的に何かを変えて (= 行動して) 、状況を自分たちにとって望むものに近づけていること(= +1以上の変化があること)を ”優位である” と定義する。

そう先に定義した上で、普段マネジメント業務において考える ”優位性” には3つの視点がある。

  1. 位置的優位性
  • どこの課題を優先的に解くか (イシューに向けた意識)
  • どういう布陣で解くか (自分たちの戦い方に向けた意識)
  1. 数的優位性
  • どれくらいの量の投資 (時間) で課題を解くか
  • 数には限界があるので、何を諦めて、何を獲得するかを明確にする
  1. 質的優位性
  • 個々のスペシャリティを最大限に引き出す
  • 弱みを強みで打ち消す

1は2では取り返せない。南に向かうのと北に向かうことを間違えたら取り返しがつかないのと同じ。2は3で取り返せるかもしれないが確率が低い。

「確率が低い」というのはソフトウェア開発においては、2よりも3の方が上回ることがよくあるし、その差が顕著に現れる。なので必ずしも数的優位性が勝るとは限らず、個の打開力を上手く活かすことも状況によってはある。

1 => 2 => 3の順番で間違えてはいけない。なぜなら、間違えた時のリカバリーが大変になるからだ。

また、1 => 2 => 3の順番で不確実性が低い。

1は「どこにある、何の問題を解くか?」という問いに置き換えることができ、特殊な制約がなければ自分たちで決めることができる場合がほとんどなので、不確実性は低い。

2は人の “数” という意味で数的優位性と表しているが、より単純化すると ”人の時間” と捉えることができるので、「1で定めた問題に対してどれくらいの時間を投下するか」という問いに置き換える。投下する時間が多ければ良いわけではないのは、その投下時間をコストとして最終的に上回るリターンを得なければいけないから。

3は時間の質のことで、BizDevとSWEではその性質がや価値の出し方が全く違うのでよくわかるはず。3が一番難しいのはBizDevやSWEという水平の棲み分けもそうだが、その中でもデキる人とデキない人との垂直の棲み分けでの差が大きかったり、定義した問題に適した時間性質を揃えること自体が単純に人を集めること (= 量的な時間を集めること) よりもはるかに難しいから。共同創業者を見つけることが、単純に友達を作るよりも難しいのと同じ。

「何を解くかよりも、誰と解くかを決める方が難しい」と言われている所以はここにある。ただその続きもあって、「何を解くかを見誤った状態を立て直すのは、誰と解くかを決めることよりも難しい」とも言える。

だからこそ、質的優位を持つ人は何を解くのかにこだわらなければいけないし、位置的優位を持つ人は誰と解くのかにこだわらなければいけない。

マネジメントはこの3つの優位性を獲得する観点に存在する制約事項 (ex: 猶予時間が足りない, 課題が難しい, プレッシャーが強い) を受け入れた上で、”望む結果に対してどういう工夫を施したら高確率で早く到達できるのかを考え抜き、手を尽くすこと” なのではないかと。

時には制約事項を崩すために課題の位置を変えることを進言したり、質的優位性を獲得するために自分が一緒に問題を解きたい人を組織内外から口説き落として、チームに迎え入れることが必要になるかもしれない。

そういった工夫の幅や鋭さ、そしてそれを素直に実行し、結果に繋げること自体がマネージャーに求められることなので、人によってスタイルやパフォーマンスの仕方が違うのも当然で、「正解がない」と言われる所以もなんとなくだがわかる。そして何より難しい。

マネジメント業務をやるときは常にこの優位性を意識して臨みたい。改めて自戒を込めて。

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