“質問”のレベルを上げる
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この記事は、「"提案"のレベルを上げる」という記事をオマージュして書きました。
“質問する” という行為は、やってみると意外と難しいものだと思う。
みんながみんな上手くやれるわけではない。自分もそう。
組織で情報を得たり議論を深めていく上では、ただ聞くだけでなく、質問の「質」や「形」を工夫することでコミュニケーションがだいぶ変わる気がしている。
これまでの経験上、質問にはいくつかのレベルがあると感じていて、それぞれのレベルを意識しながらステップアップしていくと引き出せる情報の解像度も上がっていくと思う。
ここでは雑にレベル分けをしてみたので、参考としてもらえれば嬉しい。
レベル0: 「これは何ですか?」
最初のレベルは、いわゆるオープンな質問を投げること。
「Aとは何ですか」とか「Bって今どうなっていますか?」といった、相手に自由に話してもらう聞き方。
これはこれで必要な場面が多いし、まず全体像を知るためには大事。
ただ、情報の粒度や観点は相手任せになるので、深みある答えを取りに行く場合には、もう一歩踏み込む必要がある。
レベル1: 「Aですか、Bですか?」
少し進んで、クローズドな質問にしてみる。
「これはAですか、それともBですか?」というように選択肢を示す。
何が分からないかを自分の中で整理しなければこういう問い方はできないので、最初の一歩としてとても良い。
相手も答えやすくなるし、話の焦点も絞れる。
回答する側としても、整理して選択肢にまでは落とし込む姿勢はあるのだなという印象になるので、回答を拒むことはないと思う。

レベル2: 「Aという背景があって、質問しています」
質問の背景をきちんと共有するところまでいけると、ぐっと回答の質が上がる。
「Aという背景があって、この点を確認したいです。」といった質問の仕方。
これだけでも相手は「なぜこの質問をしているのか」「何を解決しようとしているのか」を理解できるので、文脈に沿った答えをもらいやすくなる。

レベル3: 「Aという背景からBという仮説を持っています。どう思いますか?」
さらに一段上げると、自分で練り上げた仮説を添えて質問してみる。
「Aという背景からBという仮説を持っています。あっていますか?」といった感じ。
ここまでくると、単に情報を取りに行くのではなく、自分の理解や考えを検証するスタンスになる。相手も「ただ答える」だけではなく、一緒に考えるモードに入ってくれることが多い。
回答する側の目線としても、仮説がある方が選択肢あること以上に回答がしやすくなる。
ここまでくると、的外れな回答をもらう確率もグッと下がる。

レベル4: 「仮説をもとにこういう絵を描いています、あっていますか?」
仮説からもう一歩進めて、自分なりにイメージを具体化して共有するレベル。
「仮説をもとに、こういう全体像を描いています。これであっていますか?印象教えてください。」と伝えると、相手も修正や補足がしやすい。
齟齬をなくしたい時や、認識合わせをしたい時にはとても強力。
また、絵とかがあると回答が早くもらいやすくなったりもする気がしている。テキストは読み込みの負荷があるので、後回しにされがちだが、絵や図があると得られる情報量が多いのと読み込みの負荷が落ちるので、回答のスピードを上げたい場合は、質問者側で質問材料の質を上げると良い。

レベル5: 「このフォーマットに沿って教えてもらえますか?」
最高到達のレベル5として、回答のフォーマットを用意して質問するやり方がある。
「問いの観点と、想定されるパターンをここに整理したので、この中で当てはまるものを教えてください」といった感じ。
もしくは、「この条件に当てはまった場合の振る舞いを説明してください」など。
ここまで準備ができると、相手の回答負担を減らしつつ、粒度の揃った情報をもらえる。
議論を進める時や、複数の答えを比較したい時に便利だが、この質問レベルをするのは難しい。
なぜなら、相手と同水準の知識と理解を持った上で、自分は知っていないが、相手は知っているはずだという仮説のもと、相手から得たい回答イメージから逆算して、回答を引き出すための枠組みをつくり、回答する上での事前条件と事後条件を決めなければいけないから。
要するに質問者側の負荷がめちゃくちゃ高い。
それでも色々な状況背景によっては、ここまで踏み込んだ質問をしないと突破できない状況もある。
常にこのレベルをやる必要はないが、取れる選択肢として持っておくと、いざって時に突破力を発揮することができる。

質問を重ねていくと、背景や仮説、問いの工夫で話の質が変わるか実感できると思う。
もちろん、どこまでやるかは場面や立場にもよるし、毎回全部やる必要はない。
でも、こういうレベルを意識して質問する癖をつけておくと、いざという時にとても助かる。
難しいけれど、少しずつ引き出しを増やしていけるといい。